新型コロナの感染拡大は終息の兆しをみせず、相変わらずの自粛生活で、美術館にも行けない日々が続いています。そのような中、

先日、「〈あの絵〉のまえで」(原田マハ著、幻冬舎、2020年3月刊)という小説を読みました。6つの短編からなり、それぞれのストーリーにある絵画が登場するという趣向でした。

1話目はひろしま美術館のゴッホの絵がテーマでしたが、何と6話目のトリを飾ったのが直島にある地中美術館でした。瀬戸内国際芸術祭などでアート県としても売り出している香川県ですが、地元の美術館が小説のクライマックスに出てくるのはちょっと誇らしく感じました。

ただ、高松港のターミナルビルと直島の民宿のおばさんのセリフが広島弁になっているような気が…。ここをコテコテのさぬき弁にしてくれれば完璧でした。

今年は、コロナ禍のため、美術館に行けない1年でした。そのような中、アートを楽しませてくれたのが、BS日テレの「ぶらぶら美術・博物館」という番組でした。この番組は毎週欠かさず録画して、ゆっくり愉しんでいます。

この番組の中で、「絶対に日本に来ない名画」という特集がありました(おそらく美術館の特別展が相次いで中止になったことから、その穴埋めのための企画と思われます。)。

ボッティチェリの春、ヴィーナスの誕生、ダビンチのモナリザ、ミケランジェロの創世記、最後の審判、ラファエロの小椅子の聖母、ヤンファンエイクのヘントの祭壇画、デューラーの自画像、カラヴァッジョの聖マタイの召命、ルーベンスのマリードメディシスのマルセイユ上陸、レンブラントの夜警が取り上げられていました。

確かに、これらの作品が日本に来ることはないのでしょうが、香川県に住む私たちは、鳴門市の大塚国際美術館にさえ行けば、現物と同じ感動を一度に味わうことができます。高松に住んでいてよかったと思える瞬間の一つです。

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猪熊弦一郎現代美術館で「窓展」を観てきました。丸亀の裁判所に行った帰りに立ち寄ったもので、平日の昼間だったこともあり、密になることもなく、すばやく鑑賞することができました。

絵画から現代美術まで窓に関する様々な展示がありましたが、私の心にぶるっときたのはやはり絵画でした。中でもパウルクレー「花ひらく木をめぐる抽象」は気に入ってしまい、ポストカードを買って帰りました。アジアの仮想国の入管の企画(作品)もあり、入国するには、担当官に対し、とびっきりの笑顔か、お腹の底からの笑いか、得意の踊りを披露しなければならない、というのも面白かったです(美術館でこういう体験は初めてでした。)。

ミュージアムショップでは、猪熊弦一郎のデッサンのプリントされたエコバックを買いました。早速コンビニなどでの買い物に使っているところです。

新型コロナウィルス感染拡大の影響で、東京の美術館へ気軽に行けるような状況ではなくなりました。振り返ると、今年の2月2日にアーティゾン美術館へ行ったのが最後でした。今回は、アーティゾン美術館について簡単に。

アーティゾン美術館は、旧ブリヂストン美術館がビルの建替えに伴いリニューアルオープンしたものです。「アーティゾン」はアートとホライゾンからの造語とのことです。

まず、チケットが時間指定のネット予約制、音声ガイドがスマホにアプリをダウンロードする方式(無料。スマホとイヤホンの携行が必須。)となっており、ユーザーの利便性が高まっています。

まず6階に上がってそこから順次階下に降りていく方式、テラスから外の景色が見られるところは、東京国立近代美術館のようでした。

また、展示作品がすべて自前のコレクションなのが素晴らしいところで、タッチパネル式の巨大スクリーンでコレクションの検索や鑑賞もできるようになっていました。

東京駅から徒歩圏内なのでアクセスも至便なのですが、次に行けるがいつのことになるのやら。一日も早いコロナ終息を祈ります。

 

s-2019-11-21 15.49.46.jpgのサムネール画像

国立西洋美術館「ハプスブルグ展」を、パナソニック汐留美術館「デュフィ展」を、三菱一号館美術館「印象派からその先へ」展を観てきました。本来であれば、3つを個別に取り上げるのでしょうが、年末が来ていますので、令和元年のものは令和元年のうちにということで、今回まとめて書いておきます。

「ハプスブルグ展」では、名だたる名画もさることながら、スタイリッシュで洗練された甲冑に魅了されました。また、去年のベラスケス展では観られなかった「マルガリータ王女」の衣装の青色には心がぶるっときました。

「デュフィ展」も、よかったのですが、絵画の数が少なく、衣装やデザインに重点が置かれていたのが、私的にはちょっと残念でした。

「印象派からその先へ」展は、印象派以降の絵画史を俯瞰する企画で、一番満足度が高かったです。吉野石膏コレクションということでしたが、まさに世界に誇れる素晴らしいコレクションといえるでしょう。

上記のうち、「デュフィ展」は終わってしまいましたが、「ハプスブルグ展」と「印象派からその先へ」展は来年の1月までやっています。オススメです。

s-2019-09-12 11.57.07.jpg 東京都美術館でコートールド美術館展を観てきました。

ロンドンのコートールド美術館は、イギリスで印象派がさほど評価されていなかった1920年代に、印象派ポスト印象派の作品を次々と収集したとされていますが、同美術館の改修工事に合わせて同美術館の多くの名作が来日することになったようです。

 マネルノアールドガセザンヌゴーガンなど60点の巨匠の作品を間近に愉しむことができました。私は印象派が大好きなので、今回は満足度の高い特別展となりました。お土産には、20点の絵画がプリントされた図録のようなクリアファイルを買いました。結構オススメです。

長島美術館

2019.05.24

s-2019-04-20 11.03.11.jpg 鹿児島の長島美術館に行ってきました。小高い山の上にあって、眼下に鹿児島市街や桜島を一望することができ、その眺望自体が素晴らしいアート作品といえます。高松でいうと花樹海の場所に美術館があるイメージでしょうか。

 展示室は7室あり、第1展示室は郷土出身の作家の絵画、第2展示室は西洋絵画となっていました。郷土出身といっても、黒田清輝藤島武二東郷青児などのビッグネームばかりであり、西洋絵画もルノワールボナールローランサン藤田嗣治シャガールなどの一流どころが並んでいるので、これはひろしま美術館に匹敵するのではとの印象でした。

 ただ、第3展示室以降がガラス作品や焼物など私にとってはさほど興味があるとはいえない作品展示であったのが、ちょっと残念でした。すべての展示室を絵画にしても面白いのではないでしょうか。

 なお、おみやげのポストカードには岩下三四の鹿児島市街地と桜島の絵を選びました。

奇想の系譜展

2019.03.16

s-2019-02-16 10.28.51.jpg 東京都美術館で「奇想の系譜」展を観てきました。「奇想の系譜」(辻惟雄著、1970年)で取り上げられた岩佐又兵衛狩野山雪伊藤若冲曽我蕭白長沢芦雪歌川国芳の6人に、白隠慧鶴鈴木其一を加えた8人の作品を厳選した特別展とされていました。

 私は数年前に大人気を博した若冲展には行けなかったのですが、今回若冲の代表作を間近に観られただけでも見に行ったかいがありました。鳳凰図などにはただただ圧倒されました。

 そのほかの7人ももちろん愉しめましたが、中でもこれまでなじみのなかった芦雪は結構いいなと感じました。

 ミュージアムショップでは、白隠慧鶴の達磨図を買いました。慧鶴の独特の力強いタッチに惹かれたのです。

s-2019-02-02 14.47.55.jpg 三菱一号館美術館「フィリップス・コレクション展」を観てきました。アメリカの私立美術館であるフィリップス・コレクションからの特別展で、フィリップスが購入した順に作品が展示されているという面白い企画でした。まず、1番目の作品はモネでした。その他、マネ、ドガ、クールベ、セザンヌ、ゴーガン、クレー、ピカソ、ボナール、ブラック等の巨匠の作品がオンパレードで、これは見る価値ありです。

 BSニッテレで毎週火曜日の午後9時から放映中のぶらぶら美術・博物館でも特集されたばかりだったので、十分な予習もできていたのもタイムリーでした。

 ミュージアムショップでは、展示作品すべてのポストカードが用意されていました。ポストカード数枚に加えて、A4見開きで40点ほどの作品が掲載されている図録のようなクリアファイルも思わず買ってしまいました。

ムンク展

2018.12.21

s-2018-11-11 12.10.25.jpg 今年の秋冬の上野では、上野の森美術館で「フェルメール展」、国立西洋美術館で「ルーベンス展」、東京都美術館で「ムンク展」が開催されており、地方在住の身としては、さてどれを観に行くのかという難しい選択を迫られます。

 まず、フェルメールは観るとして、もう一つ観るとすれば、ルーベンスかムンクか。迷いましたが、今後の観る機会という観点から、ムンク展を選びました。

 有名すぎる「叫び」「絶望」のほか、マドンナシリーズ接吻シリーズなど、ムンクの作品100点余を間近に鑑賞して愉しむことができました。

 今回のミュージーアムショップでは、面白いクリアファイルを見つけました。A4見開き2ポケットのクリアファイルの外側にムンクの作品40点がプリントされているのです。こんな図録のようなクリアファイルは初めてで、とても気に入りました。是非、他の特別展でも採用してほしいと思うところです。

s-2018-11-11 15.17.25.jpg 上野の森美術館「フェルメール展」を観てきました。世界中に35点しか残ってないというフェルメールの作品のうち、8点を一つの展示室の中で間近に観ることができました。「牛乳を注ぐ女」が人気ですが、私は「ワイングラス」に惹かれます。

 さて、今回の特別展ですが、まずチケットが時間指定になっていました。9:30~10:30に入場できるチケットを予約したのですが、それでも10分くらいの行列に並びました。もし、時間指定がなければどうなっていたのでしょうか。入場者の集中を避ける工夫は、非常に重要なことだと思います。

 次に、作品を解説する小冊子が入り口で全員に配布されました。普通のパターンだと、各作品の左下あたりの小さな四角形のパネルに記載されている解説が、ミニブックとしてもらえたのです。これには大満足。ほかの特別展でも、ここまでしないにしても、情報をスマホでダウンロードできるようにはしてほしいと思うところです。

 もう一つ、全員、音声ガイド付きでした。この試みもいいと思います。ちなみに、ナビゲーターは女優の石原さとみさんでした。

 フェルメールについては、5~6年前に、神戸市立博物館で、「真珠の耳飾りの女」を観る機会がありました。これと合わせて、9/35のクリアとなりました。

藤田嗣治展

2018.10.12

s-2018-09-07 10.06.30.jpg 東京都美術館「藤田嗣治展」を観てきました。藤田嗣治展は、2年くらい前、兵庫県立美術館でも観たことがあります。今回の展覧会は没後50年という企画でした。

 藤田嗣治といえば、乳白色の裸婦が有名ですが、今回は全国から10点以上の乳白色の作品が集結しており圧巻でした。東京国立近代美術館の「5人の裸婦」や倉敷の大原美術館の「舞踏会の前」とは何度目かの対面になりましたが、初めて見る新潟や京都などの美術館所蔵の作品も素晴らしかったです。並べて見比べてみると感動が違います。

 今回のお土産には、写真にある作品「カフェ」がプリントされた缶入りチョコレートを買いました。いま、その空き缶をペンケースとして持ち歩いているところです。

s-2018-09-06 13.11.36.jpg マリー・ローランサン美術館に行ってきました。マリー・ローランサンの作品が常設で展示されている美術館です。ホテルニューオータニガーデンコートの6階にあります。

 展示スペースが広くないので、鑑賞にさほど時間がかからず、飛行機の待ち時間とか打ち合わせと打ち合わせの合間などにも、サッと行って、マリー・ローランサンの世界に浸ることができます。

 行かれたことがない方は、是非一度どうでしょうか。オススメです。

s-2018-07-28 16.37.20.jpg 約10年ぶりに大塚国際美術館に行ってきました。この美術館は展示作品数が膨大で、ゆっくり鑑賞していると到底1日では回りきれません。

 入り口から長いエスカレーターを上った先が地下3階で、ここが古代と中世、地下2階がルネッサンスとバロック、地下1階がバロックと近代、地上1階、2階が現代とテーマ展示のフロアとなっています。地下3階のシスティーナ礼拝堂でまずその迫力に度肝を抜かれ、その余韻を感じながら鑑賞を始めると、古代、中世、ルネッサンスあたりまででけっこう時間を取ってしまい、足も疲れてくるので、このあたりをいかに効率よく回るのがポイントかなと思っています。

 なお、今回はゴッホのヒマワリ全7点が世界中から集結していました。ゴッホのヒマワリといえば、新宿にある損保ジャパン美術館ですが、7つのヒマワリが一列に並ぶところが、大塚国際ならではだなと思います。

 10年前に比べると、私の西洋美術史に対する知識も格段に深まっていますし、お気に入りの作品の写真撮影もできたので、非常に満足度の高い鳴門行きとなりました。

横山大観展

2018.06.08

s-2018-05-16 11.17.04.jpg 今年は横山大観の生誕150年にあたるとのことで、記念企画としての二つの横山大観展を観てきました。

 一つ目は、山種美術館の「横山大観-東京画壇の精鋭」展で、同美術館の大観コレクション全40点等が公開されていました。中でも「作右衛門の家」(大正5年)については、写真撮影が許されており、私も全景や特定の部分について何枚も写真を撮りました。デジタル撮影の場合、映像を拡大することが可能なので、細かな部分までよく観賞することができます。

 もう一つは、東京国立近代美術館の「横山大観展」です。こちらは、全国各地の美術館等から92点の大観の作品が集結し、明治、大正、昭和に分けて、展示されていました。当然、上記「作右衛門の家」もありました。

 足が疲れてきたころに、長椅子が用意された「夜桜」(大倉集古館)と「紅葉」(足立美術館)の展示スペースがあり、ゆっくりと堪能することができました。「生々流転」についても、下絵を含めて鑑賞できたのは感動でした。ただ、館内の大混雑にはちょっと参りましたが。

s-2018-04-20 16.45.36.jpg 倉敷市立美術館は、倉敷市の旧市庁舎を美術館として利用しているものです。同市庁舎は、昭和35年に丹下健三の設計により建設されましたが、昭和55年の新市庁舎への移転に伴い、昭和58年から美術館となっているとのことです。

 丹下健三といえば、香川県庁舎(昭和33年)や船の形をした県立体育館(昭和39年)の設計者でもあり、香川県とも縁の深い世界的建築家です。

 香川県庁舎は、「死ぬまでに見ておくべき100の建築」として取り上げられたこともありますし、また、耐震改修工事が頓挫している県立体育館の方も、世界危機遺産とされて保存会も立ち上がっていると聞きます。

 このような貴重な建築物である建物を、倉敷に倣って、美術館のハコとして利用するのも非常に面白いと思うのですが、いかがでしょうか。

大原美術館

2018.04.24

s-2018-04-20 15.46.09.jpg 倉敷の大原美術館に行ってきました。高速に乗ると、岡山市の手前側にあるので、1時間ほどのドライブで到着します。美観地区に隣接しており、美術館以外でも散歩、ショッピング、食事等で楽しめます。

 大原孫三郎氏が1930年に開館したとのことですが、昭和初期という時代に、私財を投じてコレクションし、美術館まで開設したというのには驚かされます。

 エル・グレコの受胎告知モネの睡蓮にはじまり、ピサロ、クールベ、ドガ、ルノワール、ゴーギャン、ロートレック、マティス、モディリアーニ、ピカソ等の作品展示には圧倒されます。日本画の方も梅原龍三郎、安井曽太郎、関根正二、小出楢重、棟方志功等とこれでもかこれでもかという感じです。

 約1年前にも来ているのですが、感動再びです。素晴らしい。

s-2018-02-04 12.33.03.jpg Bunkamura ザ・ミュージアム「ルドルフ2世の驚異の世界展」を観てきました。Bunkamuraは、渋谷道玄坂の東急百貨店本店に隣接するコンサートホール・劇場・美術館・映画館・関連ショップ等からなる複合文化施設で、ザ・ミュージアムはその地下一階にあります。

 さて、ルドルフ2世ですが、16世紀末の神聖ローマ帝国の皇帝であり、首都をウィーンからプラハに移し、プラハの宮廷に世界中から膨大なコレクションを収集したといいます。

 あのアルチンボルドも、ルドルフ2世の祖父や父の代から仕えており、アルチンボルドが野菜や果物の組み合わせで描いたルドルフ2世の肖像画は今回の特別展の目玉作品の一つになっていました。

 撮影コーナーでは、アルチンボルド作の春、夏、秋、冬をそれぞれ模した現代美術家フィリップ・ハースによる3D胸像が展示されており、こちらも非常に面白い企画だと思いました。

 今回の写真は、本家本元の方(ポスター)をアップしておくことにします。

s-2017-04-13 13.06.51.jpg ひろしま美術館は、広島銀行の創立100周年を記念して昭和53年に開館した美術館です。場所は、広島県庁や裁判所のすくそばにあり、アクセスも便利です。

 所蔵作品ですが、フランス印象派を中心とした名だたる名画が勢ぞろいしています。ビッグネームだけでも、ドラクロワ、クールベ、ミレー、マネ、モネ、ルノワール、ドガ、セザンヌ、ゴーギャン、ロートレック、ゴッホ、デュフィ、マティス、ピカソ、ローランサン、モディリアーニ、シャガール、藤田嗣治等の作品が、ほぼ2作品ずつ展示されていました。私の好きなパスキンの絵もありました。

 この美術館は、展示作品が有名どころばかりなので、絵画にさほど興味のない人でも、それなりに楽しめるのではないでしょうか。

 香川県もアートで売り出しており、定期的に国際芸術祭が開催されているのですから、ひろしま美術館や大塚国際美術館(徳島県)のように、地場企業による特色ある美術館の開設を是非検討していただきたいと思うところです。

s-2017-09-13 11.40.12.jpg 先月のことになりますが、国立西洋美術館アルチンボルド展を観てきました。アルチンボルドは神聖ローマ帝国で3人の皇帝に仕えた宮廷画家です。ウィーン美術史美術館におけるコレクションの選定にも貢献したといわれています。

 今回の特別展で特筆すべきは、四季シリーズ(「春」「夏」「秋」「冬」)四大元素シリーズ(「大気」「火」「大地」「水」)の8つの作品が勢ぞろいしたことです。一つの展示室の中に、「春」と「大気」、「夏」と「火」、「秋」と「大地」、「冬」と「水」をセットにして並べて展示する等の工夫がなされていました。解説の竹中直人ナレーションの音声ガイドも非常にわかりやすかったです。

 今回は、この8枚すべてのポストカードをお土産に買いました。ミニイーゼルに立て掛けて日めくりのようにして鑑賞しているところです。

愛媛県美術館

2017.09.19

s-2017-08-01 15.00.02.jpg 愛媛県美術館で、「美人画は語る」展を観てきました。

 愛媛県美術館は、松山城のお堀の内側にあります。熊本県立美術館も熊本城の中にありましたが、同じようなイメージでしょうか。

 私は、美人画についてはほとんど馴染みがないので、上村松園、鏑木清方、伊東深水などのビッグネームの美人画を見てもどれもが同じように見えるのですが、「これは!」と思った2つの作品を作品リストで確認すると、いずれも山川秀峰の作品でした。秀峰のタッチが私の心に響いたのですね。

 常設展の方も、「子規門下の人々」と題する企画展示等があり、興味深く鑑賞することができました。

 美術館の展望室からの松山城や県庁などの眺望もアート作品でした。

 

s-2017-08-03 10.58.44.jpg 大阪市立美術館に行ってきました。天王寺公園の中にあり、写真のとおり、雄大さを感じさせる美術館です。昭和初期に建築された建物のようです。

 ちょうど4つのコレクション展が開催されていましたが、個人的には、「おおさか洋画物語」と銘打った洋画展を最も楽しむことができました。

大正から昭和にかけての大阪ゆかりの作品はどれも素晴らしいもので、来場者が少なかったこともあり、心行くまでゆっくりと鑑賞することができました。今回、私の心にぶるっときたのは、赤松麟作「琵琶湖」「芦ノ湖(雨後)」でした。

大阪市では、中之島に新しい美術館を建設する計画があると聞きましたが、中之島であれば新大阪駅からもすぐに立ち寄れるので、オープンを待ち遠しく思うところです。

s-2017-07-15 10.07.29.jpg 北海道立近代美術館で、レオナルド・ダ・ヴィンチと「アンギアーリの戦い」展を観てきました。

 幻となったダ・ヴィンチとミケランジェロとのの大壁画の対決。ダ・ヴィンチが「アンギアーリの戦い」を、ミケランジェロが「カッシナの戦い」を描いて壁画の競演をすることになっていたのですが、いずれも未完のままに終わったといいます。

 ですから、両巨匠の原作自体を見られるわけではないのですが、その構図や下絵の模写や派生作品を集結させる形の特別展となっていました。

 この特別展のメイン作品は、「アンギアーリの戦い」における軍旗争奪を描いた油彩画でした。一見しただけではよくわからないものの、デジタル画像で細かな部分を拡大したり、戦闘場面を立体的に復元したりと、IT技術を駆使した「展示方法」により、大変わかりやすく、また興味深く鑑賞することができました。

 子供向け(と思われる)のダ・ヴィンチの生涯を紹介する企画展示もわかりやすいものでした。

なお、常設展の方も素晴らしかったです。パスキンローランサンの作品、また28年度の新収蔵品を紹介するコーナーには感動を覚えました。

s-2017-07-02 09.54.10.jpg 姫路市立美術館で「ユトリロ回顧展」を見てきました。姫路市立美術館はレンガ造りで北海道をイメージさせるような広大な建物です。かつて旧陸軍の倉庫として建設され、戦後は長く姫路市役所として利用されてきたとのことです。建物の向こうには世界遺産になった姫路城の天守閣を望み、建物自体が一つのアートになっています。

 ユトリロの作品は、教会や街並みを描いたものばかりですが、いわゆる白の時代の代表作を中心に生涯にわたる様々な顔の作品を鑑賞することができました。ユトリロと母ヴァラドン、友人で母と結婚するユッテルとの不可思議な三位一体の関係には、驚かされましたが。

 常設展も「近代フランス絵画モネからマティスまで」と題する素晴らしいもので、中でもモネの代表作「印象 日の出」とまるでセットのような「日の入り」を間近に観ることができたのは感動的でした。

 

s-2017-05-17 15.13.47.jpg 東京都美術館でブリューゲル「バベルの塔」展を観てきました。

 ブリューゲルの「バベルの塔」には、大バベルと小バベルがあり、今回来日しているのは小バベルの方です。小バベルの方が後から描かれたもので、塔の建設工事も更に進んでいて、高層部ではなお工事が続けられている一方、低層部には教会があったり、洗濯物が干されたりしていて、既に人々の居住が始まっています。

 この塔の高さについては、塔の向こうに見える水平線や浮かぶ雲との位置関係から、それなりに巨大なものであることは想像できますが、人間の大きさを170㎝として換算すると、何と500mを超えるとのことで、スカイツリーまではいかないものの東京タワーよりははるかに高いもののようです。

 もうひとつ驚くのが、この小さな絵の中に1400人もの人が描き込まれているということです。その精緻さは想像を絶します。解説によると、原画を300%に拡大しても十分鑑賞に値するとされていました。

 残念だったのは、一列になって歩きながらの鑑賞を余儀なくされたことです(そういえば、フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」のときもそうでした。)。通路の後ろ側からは立ち止まって鑑賞できるのですが、そこからでは細かい部分がわからないのです。大混雑の故にやむを得ないとはいえ、もう少しゆっくり観たいと誰もが思ったのではないでしょうか。

セキ美術館

2017.06.09

s-2017-05-11 16.58.25.jpg セキ美術館に行ってきました。松山の道後温泉にほど近い住宅街にあり、看板がなければ美術館とは気付かないかもしれません。

 まず、地下1階に降りて荷物をコインロッカーに入れ、映像ルームで収蔵作品等に関するビデオを観ます。私は、音声ガイドよりも、ビデオの方がわかりやすくて好きです。

 3階建ての建物の中に展示室は5つあります。そのうち1つは「ロダンの部屋」とされ、ロダンの彫刻作品等が展示されています。残りの展示室は、日本画と洋画の作品が展示され、横山大観上村松園加山又造小磯良平らのビッグネームを含めて選りすぐりのものばかりです。よくぞこれだけものを集めたなという感じです。なかでも、加山又造の「日輪」と「飛翔」は、私の心にぶるっとくるものがありました。

 こじんまりとしながら、満足度の高い美術館でした。

s-2017-04-13 10.55.50.jpg 広島県立美術館英国ウェールズ国立美術館所蔵「­ターナーからモネへ」展を観てきました。

 まず、この美術館で特筆すべきは、その立地です。国の名勝にも指定されている縮景園に隣接しているので、美術館からの連絡通路もあり、ガラス張りになっている美術館の展望室や2階ロビーからは庭園を見渡すことができます。高松でいえば、栗林公園の隣に県立ミュージーアムがあるようなものです。

 また、来館する子どもたちのために、絵の見方などの簡単な解説を用意しているのも、非常に良いことだと思いました(実際は、大人も参考になります。)。

 さて、今回の特別展ですが、モネが印象派としての作風を確立する前に、ターナー(英国)の風景作品に感銘を受けたというエピソードからのコンセプトのようです。

 展示の中に「弁護士と依頼人」という作品があったのは、非常に興味深かったです。また、私の心にぶるっときたのは、「鍛冶場」という作品でした。逆光の写真のような圧倒的暗さの作業場の中でただ1か所だけ光る高温に熱せられた鉄の存在はすごく印象的でした。

 また、東京のブリジストン美術館で観たモネの「黄昏」を再び出会えたのも感動的でした。

 今回の写真は、撮影コーナーのモネの作品をアップしておきます。

s-2017-02-04 15.29.40.jpg 三菱一号館美術館「オルセーのナビ派展」を観てきました。この建物ですが、「三菱が1894年に建設した『三菱一号館』を復元したもの」とのことです。高層ビルが立ち並ぶ都心の一等地の一角に明治時代の外観の建物が建っており、その中の小さな展示室を次から次へと巡っていくというのは非常にナイスな感じでした。

 さて、「ナビ派」というのは、私はあまりなじみがなかったのですが、パンフレットによると「19世紀末のパリで、前衛的な活動を行った若き芸術家のグループ」とありました。「ナビ」というのは、預言者という意味のようです。

 斬新な色使いなど、正直私の理解がついていけない部分もありましたが、音声ガイドのおかげもあり、全体として興味深く鑑賞することができました。

 「ナビ派」にやんわりと馴染むことができた特別展となりました。

s-2017-03-27 11.35.39.jpg 3月の終わりに、日光東照宮美術館へ行ってきました。

 日光東照宮美術館は、日光東照宮の旧社務所(昭和3年建築)の建物が美術館になっているもので、まずはこの歴史的建造物自体をアートとして鑑賞することができます。

 館内の作品は、中村丘陵、樫山南風、荒井寛方等の障壁画が中心ですが、横山大観の「朝陽之図」と題する大作もあり、これらを間近に鑑賞できたのは本当に素晴らしいことでした。「朝陽之図」は「Sunrise」と英訳されており、私の名前と同じなので、非常に親しみも感じました。

 世界遺産になった日光東照宮は観光客でごった返していたのに、見所が多岐にわたるせいか、美術館まで足を延ばす人はさほど多くなく、ゆっくりと鑑賞して回ることができたのも幸いでした。

s-2017-02-04 16.50.45.jpg パナソニック汐留ビルの4階にある汐留ミュージアム「マティスとルオー展」を観てきました。汐留ミュージアムは、ルオーの作品を多数所蔵していることで有名ですが、今回はマティスとの交流に焦点を当てた特別展でした。

 汐留ミュージアムでは、チケット売り場の手前のスペースで、いつも特別展をテーマとした15分くらいのビデオを上映しているので、これを見てから入場すると、作品の感銘力が全く違ってきます。

 さて、マティスとルオーですが、国立美術学校の同級生であり、師であるモローから、マティスは「絵画を単純化していく」ルオーは「絵画に宗教的な痕跡が残る」と評されたそうです。2人の目指すところは違うとしても、お互いに影響し合って成長したことは間違いないように思います。今回の特別展では、2人の間でやり取りされた直筆の手紙訳文とともに展示されており、作品とともに非常に興味深く鑑賞することができました。

 現在は用件だけのメールをするばかりで、手紙など書かない時代となりましたが、手紙もいいなぁとあらためて思い直した特別展でした。

s-2016-11-30 10.04.44.jpg 東京国立博物館「平安の秘仏」展を観てきました。滋賀県甲賀市にある櫟野寺(らくやじ)所蔵の10世紀頃の仏像20体が展示されていました。

 仏像の数からわかるように展示室はただ一室のみ。展示室が一室だけの特別展というのは私も経験がなく、瀬戸内海の豊島美術館と同じような衝撃を受けました。

 そして、展示室に入るや度肝を抜かれたのが、ご本尊の十一面観音菩薩坐像。坐像ですから座っているのに(立っているわけもないのに)、台座を含めると5mを超える大きさなのです。この巨大さと菩薩の表情には圧倒されました。

 音声ガイドを聞きながら、一つ一つの仏像を鑑賞して室内を巡って、十分楽しむことができました。

 トーハクの特別展はいつも間違いがないのですが、今回もまた唸ってしまいました。ショップでは、「櫟」の字の入った缶バッチを買いました。さあ、これをどう使いましょうか。

s-2016-11-30 12.49.24.jpg 国立西洋美術館「クラーナハ展」を観てきました。国立西洋美術館はコルビュジエの建築作品の一つとして今年の7月に世界遺産に登録されたことから、それ以降来館者が大幅に増加していると聞いていたのですが、モネ展の時のような混雑はなく、比較的ストレスなく鑑賞することができました。

 クラーナハはドイツ・ルネサンスを代表する画家ですが、それにとどまらず絵画を大量生産するなど実業家でもあり、また市長までも務めたといいます。また、マルティン・ルターの肖像画を描くなど宗教改革とも深いかかわりを持ったとされています。

 今回の特別展で、弁護士という立場から興味深かったのは、「正義の寓意」の作品でした。女性が剣(力の象徴)と天秤(公平の象徴)を持っているのですが、その女性が何とネイキッドなのです。剣と天秤といえばギリシャ神話の女神テミスであり、法律事務所などにもテミス像がよく飾られていますから、裸との取り合わせはちょっと衝撃でした。「正義の寓意」の絵画コンペ企画(「正義の寓意」の模写が60ほど並んでいる)も壮観で非常に面白かったです。

 とにかく時間が足りずに、特に常設展が駆け足になってしまったのは非常に残念でした。

s-2016-11-19 10.21.31.jpg 山口県立美術館に行ってきました。新山口駅で新幹線から山口線(津和野・益田方面)に乗り換えて山口駅まで約20分。そこから美術館まで徒歩で約15分。アクセスは決していいとはいえません。しかし、行くだけの価値がある美術館でした。

 噴水の向こう側に見えるレンガ造りの建物が山口県立美術館です。これだけでも素晴らしロケーションですが、美術館の向こう側も紅葉の小山に臨み、一面ガラス張りのカフェからお茶を飲みながら秋の風情を楽しむことができます。まず、立地◎です。

 また、建物内部も、展示室で間近に作品を観たあと、階段を上ってワンフロア―上からもう一度全体を俯瞰することができる造りになっています。坂出の東山魁夷せとうち美術館のような感じですが、3部屋全体を上から見渡せる構造になっていたのは、これまた◎でした。

 さて、今回の特別展は「最後の印象派」展で、20世紀初頭のパリを舞台とした印象派の作品が集結していました。私の心にぶるっときたのは、アンリ・ル・シダネルの「コンコルド広場」とエミール・クラウスの「リス川の夕陽」の2作品でした。

 同時開催の雪舟展なども素晴らしく、満足感の高い山口紀行となりました。

s-2016-11-19 09.58.02.jpg 中原中也記念館に行ってきました。湯田温泉にある中也の生家の跡地に建てられています。

 私は、詩はどちらかというと苦手なので、正直いって中也の作品はほとんど知りません。桑田佳祐の楽曲の「声に出して歌いたい日本語」の冒頭が「汚れつちまつた悲しみに 今日も小雪の降りかかる…」で始まることから、「汚れつちまつた悲しみに」であればメロディとともにある程度の詩が頭に浮かぶのと、「ゆあーんゆよーんゆあゆよん」というオノマトペを知っている程度です。

 さて、館内ですが、中也の生原稿や遺品など貴重な資料が展示されているほか、中也の生涯や業績が紹介されています。15分くらいの「中也の軌跡」というビデオが放映されているので、これを見てから展示室を回っていくと、個々の展示品を興味深く鑑賞することができると思います。また、一角にちょっとした図書館のようなスペースがあって、中也の各種関連本を手に取って読めるようになっていたのと、CDの視聴コーナーがあったのも非常に良かったです。

 苦手の詩にちょっとだけ興味がわいてきた記念館でした。

国立新美術館

2016.11.01

s-2016-09-15 17.05.31.jpg 六本木の国立新美術館「ヴェネツィア・ルネサンスの巨匠たち」展を観てきました。国立新美術館は、大田弘子教授のおられる政策研究大学院大学のお隣にあります。

 さて、ルネサンス期のヴェネツィア絵画といえば宗教画ばかりであり、キリスト教に縁のない日本人である私からすればチンプンカンプンなのですが、ちょうど中野京子著「名画の謎 旧約・新約聖書篇」(文春文庫)を読み終えたところというタイミングで、「アダムの創造」から「楽園追放」「イサクの犠牲」「ヤコブと天使の闘い」「ユーディトと侍女」「七つの大罪と四終」「受胎告知」「キリストの洗礼」「マグダラのマリア」「最後の晩餐」「キリストの磔刑」「最後の審判」などの作品について大まかな流れや背景事情をつかんでいたため、大変興味深く観ることができました。それにしてもこれだけたくさんの聖母子や受胎告知を一度に見たのは初めてでした。

 上記「名画の謎」(文庫本)ですが、面白く読めるうえに教養も豊かになりますので(欧米人の思想の根底を垣間見る気もします。)、興味のある方は是非ご一読をお勧めします。

s-2016-08-02 10.57.12.jpg 大阪中之島の国立国際美術館「始皇帝と大兵馬俑」展を観てきました。

 この特別展は、上野の東京国立博物館で開催されていた時にはスケジュールが合わずに行けなかったので、大阪でも見られたのはラッキーでした。

 初めて中国全土を統一した秦の始皇帝は、自らの巨大な陵墓に約8千体もの兵馬俑を埋めさせたといいます。兵士は等身大で階級によって装備も異なり、何より一人一人の顔までが違います。もちろん、軍馬や馬車もあります。発掘時には時間の経過で脱色していますが、埋葬当時は鮮やかな色がついていたとのことです。その壮大さは想像を絶するものです。実際の王宮での日常をそのまま死後の世界まで連れて行こうとしたのでしょうか。

 それにしても、日本ではようやく稲作が広がり始めたという弥生時代に、中国大陸ではこれほど絶大な権力を有する王朝が成立していたかと思うと、中国の歴史の奥深さにはただ驚くばかりです。

 中学生以下の入場料は無料のようですから、義務教育中の子どもたちには是非この古代王朝の壮大さを体感してほしいと思った特別展でした。

s-2016-08-03 12.18.14.jpg 兵庫県立美術館藤田嗣治展を観てきました。

 兵庫県立美術館は、直島などでもお馴染みの安藤忠雄氏の設計で、建物自体が鑑賞の対象となっています。ですから、南側の海岸を散策しながら建物を鑑賞したり、建物を見上げたり、見下ろしたり、展覧会を鑑賞したりと、結構長時間にわたって美術館を楽しむことができます。

 さて、今回の藤田嗣治展ですが、東京竹橋の東京国立近代美術館でもいつも観る「5人の裸婦」や「アッツ島玉砕」などはもちろんのこと、徳島、横須賀、静岡、名古屋、島根、鹿児島、群馬、姫路、三重、熊本、下関等の多くの美術館から藤田作品が集結していました。

 そのなかでも、私の心にぶるっときたのは、先般世界遺産に登録された上野の国立西洋美術館所蔵「座る女」という作品でした。藤田嗣治独特の女性の背後に描かれた二羽の鳥との取り合わせが何とも言えず素晴らしかったです。また、額縁もお手製という「美しいスペイン女」(豊田市美術館所蔵)も心に感じるものがありました。

 「座る女」の方はポストカートにもなっていたので、お土産にして自宅のリビングに飾っているところです。

s-2016-08-03 09.30.59.jpg 神戸市立博物館で「俺たちの国芳 わたしの国貞」展を観てきました。

 神戸市立博物館に行ったのは、数年前になりますか、フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」を観に行って以来です。

 今回の特別展は、ボストン美術館が所蔵している歌川国芳歌川国貞の二人の浮世絵師の作品を様々な観点から対比する形で構成したものです。

 武者絵の国芳、役者絵の国貞と言われているようですが、国貞の作品からは品格を、国芳の作品からは面白さを感じました。

 今回の作品の中で私の心にぶるっときたのは、国貞作の藍色の濃淡だけで描いた美人画でした。シンプルにして奥深い美しさはスゴイの一言。また、国芳の挿絵で、あの水滸伝を読み直してみたくもなりました。

 それにしても江戸時代のこれだけの作品を(しかも今回来日したのはほんの一部といいます。)アメリカのボストン美術館が所蔵しているのですから、その収集活動には敬意を表さざるを得ません。

 古今東西の名品を網羅するというボストン美術館、是非とも行ってみたいものです。

招き猫美術館

2016.06.06

s-2016-04-01 15.46.00.jpg 招き猫美術館というちょっと変わった美術館に行ってきました。岡山市にあります。

岡山市の美術館は、後楽園の付近のいわゆるカルチャーゾーンに、県立美術館、オリエント美術館、林原美術館、県立博物館、夢二郷土美術館が集中しているのですが、今回の招き猫美術館は郊外のしかも山の上にあり、車がないとアクセスが不便でした。先日、たまたま車で岡山に行く機会がありましたので、立ち寄ってみました。

 中に入ると、おびただしい数の招き猫に圧倒されます。大きいものから小さいものまで、単体物からセットの作品、全国各地のとにかくたくさんの招き猫が展示されていました。

私は、美術館に行くと、いつもお気に入り作品のベスト3を選ぶのですが、今回は数が多すぎて選びきれませんでした。その代りに、ショップにあったポストカードから4枚を選んで、今回の「選考」としました。

 たくさんの招き猫が呼び入れた運気に体中がつつまれたような鑑賞でした。

 宇多津町が主催し、全国からアート作品を公募する「うたづアートアワード2016」の入賞・入選作品展覧会を観てきました。

 場所は、ユープラザうたづの特設会場で、大賞濱野年宏賞優秀賞特別賞佳作賞入選を合わせて、100点を超える作品が展示されていました。

 入選作品の作者を見ると、やはり地元香川県が多いようでしたが、ポーランド、スロヴェニア、イタリア、フランス、イングランドなども散見され、全国どころか、国際色もある作品を身近に観ることができました。

 大賞をはじめとする入賞作品が素晴らしかったのは当然として、90点余あった入選作品の中にも、「たゆたう」「small planet」「積雪」などは私の心にぶるっとくるものがありました。

 このうたづアートアワード、今年で3回目とのことですが、今後ますます応募作品が増え、国際色も豊かになって、アート県香川を引っ張って行く存在になってほしいと思うところです。

高松市美術館

2016.04.09

s-2016-03-31 13.31.42.jpg 高松市美術館リニュールオープンしました。オープン後間もない3月の終わり頃、早速観てきました。

 写真にある新しいシンボルマークですが、Takamatsu Art Museumの頭文字をとったもので、がシンボルタワーを、が瀬戸内の島々の景観を表しているとのことです。なかなかおしゃれでいいですね。

 オープン記念の特別展は、いま知りたい、私たちの「現代アート」と題するコレクション展でした。私はもともと現代アートはちょっと苦手で、よくわかないものも多かったのですが、瀬戸内国際芸術祭で少しずつ鍛えられたのか、なんとなく面白さがわかるようになってきました。今回、私の心にぶるっときたのは、高松次郎「影の圧搾」、速水史朗「オバケ」、関根伸夫「位相No.4」の3作品でした。

 今回の特別展、ロータリーの例会の帰りにぶらっと立ち寄ったので、あまり時間がなくて駆け足になってしまったのが残念でした。

s-2016-02-05 19.04.51.jpg 東京都美術館でボッティチェリ展を観てきました。前回のモネ展の時のような大混雑はなく、比較的ゆっくり観て回ることができました。

イタリア・ルネッサンス期にメディチ家から寵愛されたサンドロ・ボッティチェリですが、板絵の運搬が容易でないことなどの理由から、これまでこれほど多くの作品が来日することはなかったとのことです。今回は、日伊国交樹立150周年の記念企画ということで貴重な作品が上野に集まりました。

その中でも私の心にぶるっときたのは、作品の右端に自画像が描かれているといわれる「ラーマ家の東方三博士の礼拝」と壁画の作品を切り取った作品という「書斎の聖アウグスティヌス」でした。

お土産のポストカードには、あの有名な「美しきシモネッタの肖像」を選んだのですが、これは丸紅さんが所蔵している作品でした。さすが、世界の丸紅ですね。

このボッティチェリ展、4月3日までです。

s-2015-12-06 15.02.46.jpg 東京都美術館モネ展を観てきました。とにかく混雑していると聞いていたので、予め館外でチケットを購入しておきました。案の定、チケット売り場も長蛇の列。空いているコインロッカーを探すのも一苦労でした。荷物をロッカーに入れて入口に向かうと「20分待ち」のプラカード。20分なら仕方がないかなと思いながら、用意していた文庫本を読みながら、少しずつ前に進みます。

おそらく20分以上かかって、ようやく展示室内に入れました。ロビーフロア、1階、2階の順に進むのですが、最初のフロアが1番混雑していたように思いました。時々停まりながらも少しずつは前に進むので、待ってさえいれば間近に作品を観ることはできるのですが、やはり少し離れたところからも観たいですし、そのために列を離れても人の頭ばかりしか見えない状態だったのは、ちょっと残念でした。

ただ、特別出展作品の「ヨーロッパ橋、サン=ラザール駅」、かの有名な「睡蓮」などは比較的ゆっくり観ることができ、満足できました。

モノさえよければ、いくらでも人が来るという、東京と地方とのビジネスモデルの決定的な違いを痛感した展覧会でした。

根津美術館

2015.11.02

s-2015-10-17 12.15.53.jpg 苔の帽子をかぶり苔の衣を羽織ったお地蔵様が寝てござる。南青山の根津美術館の庭園を散策しているときに遭遇し、思わずシャッターを切りました。風情がありますね。

先日の東京出張の際、美術館をはしごしてきました。まずは、丸の内にある三菱一号館美術館。「プラド美術館展~スペイン宮廷美への情熱」が開催されていました。次に、根津美術館。財団創立75周年記念の「根津青山の至宝~初代根津嘉一郎コレクションの軌跡」と題する特別展が開催されていました。苔のお地蔵様にはここの庭園でお会いしました。そこから広尾までブラブラ歩いて、最後に山種美術館。琳派400年記念の「琳派と秋の彩り」と題する特別展が開催されていました。

どの特別展も素晴らしいもので、大満足のミニアートツアーとなりましたが、そのなかでも私の心に「ぶるっ」ときたのが、加山又造の「華扇屏風」と「満月光」(いずれも山種美術館)。

私のなかでは、この2つは別格でした。ポストカードを買ってきて、じっと眺めている毎日です。

s-2015-05-23 13.49.23.jpg 東山魁夷せとうち美術館で「日展三山」展を観てきました。同美術館開館10周年記念の特別展とされていました。この三山展については、丸亀の法廷に行った帰りに立ち寄る予定にしていたのですが、スケジュールをよく確認してみると、特別展が5月31日までなのに、次回の丸亀の法廷は6月2日。ギリギリアウトなので、やむなく時間を作って行ってきました。

さて、東山魁夷杉山寧高山辰雄の三山ですが、かっての日本画壇の一世を風靡しただけあって、素晴らしかったです。展示スペースが狭いだけに、次から次へ名作のオンパレード。濃密な時間の流れでした。

特に私の心に響いたのは、東山魁夷は「冬華」、杉山寧は「孔雀」、高山辰雄は「一軒の家」の作品でした。また、秋の特別展を楽しみに待ちたいと思います。

高野山霊宝館

2015.05.07

IMG_0245.JPG 今年のGWは、開創1200年で賑わう高野山に行ってきました。高野山に足を踏み入れるのは、昭和の時代の司法修習生の合宿の時以来となります。当時は武将や企業の墓所の方に興味がありましたが、今は何といっても仏教芸術の方に面白さを感じます。今回は1200年記念の特別公開が行われており、今しか見られない名宝を間近に観ることができました。

高野山霊宝館などは国宝、重要文化財のオンパレードでしたが、中でも圧巻だったのは運慶作とされる八大童子立像が一列に並んでいたところです。これはスゴイの一言。しばらく時間が止まってしまいました。

でき得れば、もう少し人が少ない時に、ゆっくり訪れたいと思った高野山でした。

IMG_0054.JPG 東山魁夷の絵を観てきました。坂出市沙弥島の東山魁夷せとうち美術館ではなく、広尾の山種美術館に行ってきました。山種美術館は、旧山種証券の創始者である山崎種二氏のコレクションをもとにした日本画専門の美術館です。

今回の特別展は、東山魁夷の没後15年記念ということで「日本の四季」と銘打って開催されました。川端康成に勧められたとされる「京洛四季」の連作や皇居宮殿ゆかりの作品などが展示されていました。新聞報道によると、皇太子ご夫妻も鑑賞に来られたようです。

私としては、数ある作品の中でも「春静」「秋彩」の2作品が特にすばらしいと感じました。「四季」の余韻に浸りながら、寒風の中恵比寿駅に向かう坂を下りました。

s-DSC_0245.jpg東京で開催された監査役セミナーに出席して来ました。日程の都合で、「ガバナンス・コンプライアンスに関する最近の諸問題への対応」というプログラムのみの受講となりました。

セミナーでは、金融庁の今事務年度の金融モニタリング基本方針や反社勢力排除、大口信用供与等規制の見直し等に関する講義の後、反社勢力排除についての設例をもとに共同討議が行われました。ポイントを突いた大変わかりやすいセミナーだったと思います。

帰りに、飛行機の待ち時間を利用して、京橋のブリジストン美術館に立ち寄ってみました。「絵画の時間」と題する時間を切り口とした作品展示を行っていました。なかなか面白い企画でしたが、私の心にグイグイ迫ってきたのは、クロード・モネの「黄昏、ヴェネツィア」とジョルジュ・ルオーの「郊外のキリスト」の2作品でした。黄昏の明るさとルオーの暗さ。この両者の明と暗の対比というか、別に対比しているわけではないのですが、私の心には2つがセットになって妙に印象に残りました。

今年の夏は、今回のブリジストン美術館のほか、六本木の国立新美術館で「オルセー美術館展」を、上野の東京国立博物館で「台北国立故宮博物院展」を観る機会に恵まれました。いずれも素晴らしいもので、文化面での東京と地方との著しい格差を改めて感じたところです。

s-DSC_0224.jpg大阪で開催されたあっせん業務研究会に出席してきました。証券・金融商品あっせん相談センターでは、あっせん委員の研修や意見交換などのために年に1回あっせん業務研究会を開催しており、私も四国地区のあっせん委員として参加したものです。

研究会では、まず、相談、苦情、あっせんの申立状況や解決状況などの紛争解決業務の現状についての報告がなされた後、具体的なあっせん事案について、実際にその事案を担当したあっせん委員と出席者との間で質疑応答、意見交換が行われました、紛争当事者双方の主張をいかに調整して適切な和解に導くかという観点からの意見交換は、非常に有意義なものでした。

研究会からの帰りに、あべのハルカス美術館で開催されていたデュフィ展を観てきました。この美術館は、開館時間が午後8時までとされているので、日帰り出張の際にも余裕をもって立ち寄ることができます。実は、私の自宅のリビングにはデュフィの作品のレプリカを飾っているのですが、その本物を間近に観ることができちょっと感動しました。また、美術館フロア(16階)からの眺めも素晴らしいものでした。もう一度行きたい美術館がまた一つ増えました。

会場の出口には、デュフィの作品をバックに写真が撮れる記念撮影コーナーがありました。その写真をアップしておくことにします。

五百亀記念館

2014.01.28

s-DSC_0170.jpg家事調停のため松山家庭裁判所西条支部に行ってきました。西条支部までは1時間半ほどのドライブとなり、一応県外に出るので「非日常」を感じることができます。

西条支部はお堀に臨む場所にあり、ロケーションが素晴らしい裁判所です。そのお堀をはさんだ裁判所の向こう側に五百亀記念館が建っていました。西条市が生んだ彫刻家伊藤五百亀氏の記念館で、平成25年8月オープンとのこと。ちょっとのぞいてみると、1階には五百亀氏の彫刻作品が展示されており、2階は市民ギャラリーとなっていました。ちなみに、ギャラリーには池西剛氏の陶磁器の作品が展示されていました。この五百亀記念館ですが、駐車場も完備されていて、なんと入場無料。すごいですね。質の高い芸術作品に日々触れることのできる西条市民をうらやましく思いました。

香川県もうどんとアートで売り出しているのですから、県立ミュージアムや高松市美術館などは率先して無料デーや半額デーをどんどん企画してほしいものです。

【対応可能地域】香川県全域(綾歌郡綾川町、綾歌郡宇多津町、観音寺市、仲多度郡琴平町、坂出市、さぬき市、善通寺市、高松市、仲多度郡多度津町、東かがわ市、丸亀市、仲多度郡まんのう町、木田郡三木町、三豊市) 岡山県、徳島県、愛媛県、高知県等の近隣地域や東京、大阪等も対応可能です。
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